香月院深励師による『三帖和讃』の解説本
『冠註御草稿三帖和讃』上中下 について
国立国会図書館デジタルコレクションでは「三帖和讃 冠註御草稿」にてヒットします (こちら)。このデータを整形して製本化しました。各和讃の冠註は『三帖和讃講義』から取られているようです。上巻が『浄土和讃』、中巻が『高僧和讃』、下巻が『正像末和讃』に冠註をつけてあります。内容が細かいためギリギリまで拡大していますので、製本の内側部分まで文字が印刷されてしまっていてその辺が少々読みづらいと感じるかも知れません。これは申し訳ないのですが本を大きく開いて読んで頂くことでご対応下さい。またギリギリまで拡大させているので小口に印刷インクが付いていると思います。これはワザとそうしていて製本ミスではありませんのでご了解願います。
『三帖和讃講義』について
香月院深励講師は宗祖 (親鸞聖人) の『三帖和讃』については夏講にて講義をされています。その講本は山内文華堂より『三帖和讃講義』として、『浄土和讃講義』全六巻、『高僧和讃講義』全三巻、『浄土和讃講義』全三巻がでていたようです。「ようです」と書いたのは特に『正像末和讃講義』については私がまだ実物を見たことがないからです。
『浄土和讃講義』につきましては山内文華堂の手書き木版印刷が国立国会図書館デジタルコレクションに収録 (こちら) されている他に、『浄土和讃己未記』として『真宗大系』第19巻に収録されています。『真宗体系』では活字になっているので非常に読みやすいです。
『高僧和讃講義』については活字での出版はありませんが山内文華堂の手書き木版印刷の和綴じ本が国立国会図書館デジタルコレクションに収録されています (こちら)。この山内文華堂の『高僧和讃講義』は時々ですが古本屋に和本が出るようです。ネットでの古本屋情報サイト「日本の古本屋」にて定期的に検索をしていれば時々ですが入荷がありました。私も入手して持っています。字体は読みやすいのですが紙が非常に薄くて袋とじでも紙2枚を通して裏の文字が透けてしまっていてそのせいで読むのがちょっと大変です。
『正像末和讃講義』については私自身はこれまで山内文華堂の和本を見たことがありません。どうも古書としての流通が少ないようです。また国立国会図書館にもないようで蔵書リストになく、よって画像データが公開されていません。では完全に何もないのかというとそうでもなくて写本があるようです。少なくとも「日本の古本屋」では写本を置いている本屋があります。ただ写本は読みづらいことが多いですしその割に値段が高いのでどうかなと思っています。
それよりも写本データを公開しているサイトにて内容の閲覧が可能です。筑波大学付属図書館収蔵の『正像末和讃庚申記』の画像データが新日本古典籍総合データベースにて閲覧できるようです (こちら)。ここから画像をとって整形することで製本できそうですが、筑波大学付属図書館のマイクロフィルムでの権利範囲がよく分からないのでやっていません。
実際の『冠註御草稿三帖和讃』の内容は、拝読用の三帖和讃の部分と、冠註の部分とで構成されています。拝読用の三帖和讃の部分は、『御草稿三帖和讃』(こちら) と内容がほぼ同じです。
余談ですが、間違って『御草稿三帖和讃』の方を入手すると、和讃の読み方は書かれていますが、註釋は何も無いのでガックリします。冠註があるのは『冠註御草稿三帖和讃』の方であって『御草稿三帖和讃』とは本が別物なので注意が必要です。
冠註の内容ですが私が確認した部分は全体のほんの僅かですが『三帖和讃講義』の講録を元に要点を抜き出して書かれているようです。『三帖和讃講義』の方が内容が厚いのであちらの方が読み応えがあって勉強した気になりますが、要点は押さえられているのでこの『冠註御草稿三帖和讃』も内容的には遜色ないと思います。
何よりも現在『正像末和讃』に対しての香月院深励講師の講録が入手しずらい状況なので特に「正像末和讃」各首に対する深励師の解釈を押さえられるという意味でもこの『冠註御草稿三帖和讃』は貴重だと思います。