一蓮院秀存師の語録百選
製本発注 | 2,000円 | 秀存百話 | 84頁 |
『秀存百話』について
国立国会図書館デジタルコレクションでは「秀存百話 文明堂」にてヒットします (こちら)。同じ内容の別本が「秀存講師百話」でヒットします (こちら)。この別本は護法館から出されていますが内容は同じです。この護法館刊『秀存講師百話』では「源誓広 述」と情報が表示されます。また本の奥付にも「著述者、相続人 源誓広」となっています。この著者は不明なようで国立国会図書館から著作権情報公開調査が出されています (こちら)。
一方で文明堂刊『秀存百話』の方は佐々木月樵師が編者となっていて、その本には南條文雄師が序文を寄稿しています。私が勝手に推察するには、この「源誓広」というのはペンネームなのかなと。
『秀存百話』も『秀存講師百話』もどちらも読み取り画像があまりキレイではありません。どちらかというと『秀存百話』の方が読み取り画像がまだキレイで、かつ多分こちらがオリジナル書籍だと思われるので今回『秀存百話』の方を製本化しました。
『秀存百話』がオリジナルと思われる理由ですが、著名な佐々木月樵師が編者となっていることや、南條文雄師がこれに序文を寄稿していること。対して『秀存講師百話』の方は正体不明の「源誓広」なる人物が述者や相続人となっていてる辺りからです。そもそも『語録』で「述者」はありえない話です。
元の画像がキレイで無いことは読みづらさに繋がります。ココに載せた画像のは一番読みづらそうな辺りです。元々本文の文字横に点だとか○だとかルビが打たれている上に、更にノイズが飛んでいるページがあります。なるべく修正して除去をしたのですが、どこまでやっても終わりが無いので読めそうなくらいまでキレイにした辺りで妥協致しました。自分もコレ使って読みましたので読めないことはないはずです。
『語録』について
「言行録」とか言ったりもします。お東 (大谷本廟) 系では講師などの語録が多く出されています。お西 (本願寺派) 系でも、たとえば『七里和上言行録』など有名だと思います。
私な勝手な思い込みですが、語録はお西よりもお東の学者の方が多いような気がしています。お西でも七里和上の他には『明朗語録』などありますが、お東なら『香月院語録』『円乗院言行録』『恵空語録』『香樹院語録』『秀存語録』『龍温語録』『伏明語録』などなど。まだまだあったと思います。『語録』の内容は多くは真宗のご安心について。これをちょっとした短い出来事や言葉の中で示されているものが多いです。
一蓮院秀存師について
一連院秀存師は江戸時代のお東の学者で香月院深励師の弟子になります。兄弟子には香樹院徳龍師がいます。秀存師は非常に篤信の方だったようで沢山の『語録』が残されています。有名なのは『秀存語録』です。他にも何人もの方が編集されています。
また篤信のご門徒との交流もあったようで、今に伝わることとして篤信の門徒貞信尼が非常に慕っておられた方のようです。この辺りは貞信尼の信仰や生涯を描いた『貞信尼物語』にも出てきます。
蓮の花をこよなく愛でる方だったようで、だから院号も一蓮院と号されたということのようです。そこまでは良いのですが奥様の名前も蓮にちなんだ名前だとかは単なる偶然だと思います。どこかの語録に冗談のように書かれていました。
『語録』の特徴は『言行録』とも言われるように言葉だけでなく行いも含めて、また本人だけでなくその人物に関係した周りの人についても含めて紹介されているところだと思います。
気軽に読めて深く考えさせられる
また『語録』は比較的短い話が多く、それでも含蓄があって奥深いものです。ちょっとした暇な時間に気軽に読めて、でも何度でも考えさせられる話が多くあります。星新一さんのショートショートみたいな感じです。
国立国会図書館デジタルコレクションには多くの『語録』が収録されています。これらの中から何点か是非とも紹介させて頂きたいと思っています。