オンデマンド (OD) 製本

「どこでも出版」を利用

この小竹山房での品揃えを実際にオンデマンド製本をしてお届けする仕組み、「製本直送.com」の「どこでも出版」の仕組みについて説明させていただきます。

オンデマンド出版としての「製本直送.com」

そもそも「製本直送.com」自体がオンデマンド出版のサイトです。私が私自身のために製本 (OD製本) するときに利用します。用意するのは、(1) 製本したい本のPDFと、(2) もし表紙が必要ならば表紙の画像データ、(3) もしブックカバーが必要ならばブックカバーの画像データです。

これらの必要なデータ (内容のPDF、表紙の画像データ、ブックカバーの画像データ) を私自身が用意して私のために製本化を依頼して製本して送り返していただくのが「製本直送.com」の基本的な流れです。

もちろん私が作ったデータを使って製本してもらって、それを私が指定したどこか別の場所に送りつけていただくこともできます。この場合は支払いをどうするかが問題になります。私がお金を出して相手にプレゼントするのならカード決済で即日製本依頼ができます。でも私がプレゼントするのではなく相手がお金を払うのならどうすればよいでしょうか。

普通ならばコンビニ決済を使うかなと思います。発注したときにコンビニ決済を選択してコンビニで決済させる。その際に相手に受付番号と登録電話番号を連絡して相手がコンビニでお金を支払うのです。コンビニ決済に180円だったかの手数料がかかりますが、決済が終わったところで正式に製本の発注が完了して製本が始まります。支払いの猶予は1か月くらいだったと思います。

これでは私の登録電話番号を相手に連絡しないとダメですね。リアルタイム性も失われます。知り合いならば電話番号を教えているので問題ないですが、本を買いたい人に一々自分の携帯の電話番号を教えていたのではやっていけません。この辺りを商売として仲立ちしたのが「どこでも出版」のサービスだと思われます。

製本販売の仕組みとしての「どこでも出版」

私が用意したPDFを使って
 (1) 私自身が自分のため製本化するのが「製本直送.com」の基本仕様。
 (2) 私以外の皆さんがご自身のために製本化するのが「どこでも出版」。

「どこでも出版」では原稿を用意する人と、製本化を依頼する人がずれていても大丈夫なようになっています。製本化を依頼する人はあくまで「製本直送.com」やそこで「どこでも出版」を運営している会社、株式会社ブックフロントに対して依頼をするのです。そして「どこでも出版」では支払い価格は製本代金とそれに加えて原稿代金等を合わせたものが設定されます。価格設定をするのは原稿を用意する人です。この仕組みに対しても「どこでも出版」は一定割合の手数料をとりますので、支払額はそれらを加味したものとなっています。

「どこでも出版」価格製本実費 + 「どこでも出版」手数料 + 売上利益 + 消費税

「製本直送.com」価格製本実費 + 消費税

両者を比べると「どこでも出版」の価格は割高になっていることが分かると思います。これは原稿をご自分で用意しないで他の方が用意した原稿で製本をすること、そして製本化の販売の仕組みを利用することに対する利用料金の上乗せ分となっているからと言えます。

オンデマンド出版のメリット、デメリット

更に製本を大量作成にせずに1冊ずつ製本していることが価格を高くさせます。価格が割高なのにオンデマンド出版はどうしても画質も悪くなります。オフセット印刷の方が鮮明で綺麗なのは否めないと思います。

以前に出版業務をしていた方にお聞きしたのですが出版社から本を出そうとすると車一台が買えるくらいのお金がいるとのこと。それで1000冊なのか3000冊なのか最低ロットを作ったとしても売れなければ費用は回収できずに自宅が在庫の本だらけになるだけになるとの事です。ところがオンデマンド印刷は需要がなければ何も費用は発生しません。原稿を作った労力が徒労になるだけで他の費用の持ち出しは一切ないことが大きなメリットです。

デメリットは単価が高くなることです。そして先に書いたように画質も悪いです。また注文を受けてから印刷が始まるので在庫を送付すればよいだけではありません。どうしても中6日くらいの日数がかかってしまいます。この辺りがデメリットとなります。

なぜオンデマンド印刷を利用するか

それでも何故オンデマンドなのか。古い江戸宗学の講本を製本化するとかは非常にマニアックな分野です。そんな本を欲しがるのは10人くらいかそれ以下かも知れません。でもこのような本は1冊だけでも寺院にあれば後にその寺にて勉強する人は皆それが使えます。昔の学者さんの出た寺院が有利なのはそういうところです。書籍が財産として寺に残っているのです。例えば明治時代に学者がでた寺にはその時代の有名どころの本が残っています。でも中にはその後に学問をする人が居らず、本の価値が分からなくなって全部古本屋に売り払ってしまうという事もあるようです。私たちはそのような流出本を古本屋から古書で購入して勉強に使っていたりします。

手元に本が無くても内容的に必要なものならば求める人は居るはずです。そしてどうせ残るのならばたとえ私製本でもなるべく綺麗な形で本にしたいと思うのです。だから製本にはブックカバーをつけて仕切りの色紙も用意しています。それでちょとだけ高くなりますが見栄えは普通の本と同じです。

現在では専門書店からもオンデマンド印刷で発売されているものがあります。私は最近『仏教大系』教行信証編 (全9冊) を購入しました。ずっと中古本を探していたのですが、中古市場にはなかなか登場しないのです。同じ『仏教大系』でも他の宗派の本は出たりするのですが、教行信証編はなかなか出ない。

この本は『教行信証』の一文一文について、『六要鈔』に加えて、『講義』 (宣明)、『講義』 (深励)、『略讃』 (道隠)、『徴決』 (興隆) の4名の東西の学者の講本が会本されています。今は中山書房仏書林からオンデマンド出版されています。9冊揃の分売不可で82,500円 (75,000円 + 税) ですがそれでも必要な人はきっとこれからも買うでしょう。実際に私は購入しました。

個人情報の管理について

最後に購入の際に非常に気になる購入者様の個人情報の取り扱いについて記させていただきます。製本依頼については各自が「製本直送.com」に対して行っていただくことになります。そこで記入される個人情報(住所、氏名、連絡先)はすべて「製本直送.com」が管理しています。その購入者情報の中で品揃えを行った私の手元に届く購入者様の個人情報は「メールアドレス」だけです。

逆にこちらは購入者様の「メールアドレス」だけしか把握ができていません。また連絡先も分かりません。例えば製本ミスがあったときには製本をした業者に連絡をします。ところが原稿自体にミスがあった場合には製本業者には何も落ち度はありません。その際には私の方にご連絡をいただくことになります。私はメールアドレスしか分かりませんので、購入した日にちとメアドと何をどれだけ製本されたかだけが頼りになります。ちなみに原稿ミスといっても例えば国会図書館の元原稿にそもそもそのようにあったのならば免責させていただくこともあり得ます。

そのあたりはまた別のところに書かせていただきたいと思います。

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